自分を見つめ直す1冊「後世への最大遺物」
金・金・金。
節約や投資をしていると、いつの間にかそのような思考に
陥っていることはないだろうか。(私はもちろんある)
そんな時に私が読み返す本、それが「後世への最大遺物」である。
1894年に内村鑑三氏が行った、キリスト教徒夏期学校での講演内容が
まとめられており、読むことで自分自身を見つめ直す事が出来る、
そんな本書について紹介したい。
本の要約
何も必ずしも後世の人が私を褒めたってくれいというのではない、私の名誉を遺したいというのではない、ただ私がドレほどこの地球を愛し、ドレだけこの世界を愛し、ドレだけ私の同胞を思ったかという記念物をこの世に置いて往きたいのである。
自分が死ぬ時までに、この世の中を少しなりとも善くしてから死にたい。
そのために何かを遺したいという思いはとても尊いものである。
ではそれを為すため、後世に何を遺せばよいのか?考えられる遺物は4つ。
1.金
2.事業
3.文学(思想)
4.勇ましい高尚なる生涯
どれもとても大切なものであるが、最大の遺物は4である。
理由としてまず1~3には才能が必要であり、万人に成しえることではない。
またこれらは場合によっては大変害のあるものになり得る。
であれば、これらが最大の遺物であると言うことは出来ない。
その点、4については利益ばかりで害はなく、また才能の有無など関係なく
誰でも遺すことが出来る。むしろ才能を持たない者こそ、障害を乗り越える
生き様を見せることで後世の者達を勇気づけることが出来る。
人にこれといって覚えられる偉業が無かったとしても、
あの人は真面目なる生涯を送った人である、と言われるだけのことを
後世の人に遺そうではないか。
私の意識を変えたモノ
本書では、後世に何を遺せるかについて焦点があてられている。
しかし、私が一番ハッとさせられたのはそこではない。
正直に言うと、「後世に何かを遺したい」という思いそのものだ。
自分が死ぬまでにちょっとでもこの世の中を良くしたい、と考えて
行動している人がどれほどいるか?少なくとも自分は本書を読むまで
全く考えたことが無かった。というか読んだ今も実感できてはいない。
だが気付いたこともある。
今ピンとこないのは、まだ死ぬことを意識していないからじゃないか?
実際に死ぬとなった時、思いをはせるのは楽しかった思い出等ではなく
自分が死んだ後にも続く、自分が遺した何かじゃなかろうか。
つまり私が本書から得た一番の気付きとは、死ぬ前に抱くであろう思いを
30代で事前に認識することが出来たことだ。
ちなみにこの辺りは「7つの習慣」に似たような話がある。
想像して欲しい。あなたは今、葬儀会場にいる。飾ってある写真はあなたのもの。これはあなたの葬式なのだ。
(中略)
ここで深く考えてみて欲しい。集まってくれた人に、何と言って欲しいだろうか。あなたは、みんなに自分の人格のどういうところをみてほしかったのか。どういう貢献や業績を覚えていてほしいのか。その場に集まっている人、それぞれの顔をよくみてもらいたい。彼らの人生にあなたはどういう影響を及ぼしたかったのだろうか。
(中略)
真剣に想像し、自分自身に問いかけてみたならば、一瞬だけでも自分自身の心の奥底にある「基礎的な価値観」と「内的な方向付け」に触れたはずである。それはあなたの人生を根本的に変えることになる。
これらに共通している言えるのは、自分が死んだ後に遺したいモノこそが
人生で目指すべきゴールであるという点だ。
このような観点はこれまでの私になかったもので、本書を読んでから
後悔しない為にも何かを遺すことが出来ないか真剣に考えるようになった。
この考えがどこに繋がるかは分からないが、ひとつ言えることは本書によって
私の生き方は大きく変わったということだ。
まとめ
金に心がとらわれた時、本書を読むことをおすすめする。
そこが一番じゃないんだよなぁって思い直させてくれるはずだ。